余裕資金は将来に備えてしっかり資産運用しよう!

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前項で、家計のチェックを行い、安心して使えるために定期的に資金を受け取れる商品を選ぶべきだと述べました。

個人年金保険などはこの目的を達成するためには有効な方法といえますが、資金の運用効率という視点から見ると、表面的には見えないコストの負担から利回りが相対的に低くなってしまい、運用効率の悪い商品だといわざるをえません。

ですが、利回りの高さを考えることよりも重要なことがあります。それは、物価の変動や為替レートの変動による実質的または相対的なお金の価値の変化に備えるというスタンスをとることです。

とかく老後資金の運用というと、安全性を第一に考える傾向がありますが、預貯金などが本当の意味で安全かというと、物価や為替が将来にわたって一定でない限り、安全だと言いきることはできません。

平成24年の簡易生命表によると、65歳まで生きられた人は、男性は平均して84歳まで、女性は平均して89歳まで生きるようです。

リタイア後の期間が20年から30年あることを考えると、その間の経済情勢の変化に備えられるようにしておくことも重要でしょう。

株価や為替は10年、20年の間に大きく変動しています。今後10年、20年の間にどのような変化が待っているかは誰にもわかりません。物価、金利、為替などがどうなるかを予想するのではなく、どのような変化が起きてもそれなりに対応できるようにしておくことが重要なのです。

では、具体的にどのような運用が無難かというと、やはり、さまざまな事態に備える観点で、複数の資産を組み合わせたポートフォリオ(資産の組み合わせ)運用を考えていくのが基本でしょう。

まず、インフレ(物価上昇)に備えるためには、国内株式や国内不動産、金(ゴールド)などを考えます。

利用する商品としては、国内株式ならTOPIX(東証株価指数)に連動するファンド、国内不動産なら東証REIT(リート、不動産投資信託)指数に連動するファンド、金なら金価格に連動するファンドなどであれば、コストも比較的低く、1万円程度の少額から利用できるものが多いので、少しずつ買ってみるのも有効でしょう。

そして、円安に備えるためには、外国株式や外国債券、外国不動産などが考えられます。

選ぶ商品としては、どこかの国に限定したものではなく、まずは世界全体を買うくらいのつもりで、世界の株式や債券、REITなどのそれぞれの指標に連動するファンドを手始めに買ってみるべきでしょう。

そのうえで、特定の国や新興国などにも投資したいと思うのであれば、好きなものを追加するのも1つの方法です。

さらに、幅広く分散したポートフォリオを目指すなら、国内外のコモディティ(穀物、貴金属、エネルギーなどの商品)で運用するファンドなどを加えてもよいでしょう。

とにかく、幅広くさまざまな資産に分散することで、今後の世の中のさまざまな変化に対応できる、ポートフォリオ全体のリスクを低くした運用ができるはずです。

リタイア後の資産運用では、増やそうとするより、資産を守る発想が重要でしょう。

(続く)

定期的に資金を受け取れる商品の例

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老後、使っていいお金を安心して使えるようにするためにはどうすればよいでしょうか。

1つの方法としては、定期的にお金を受け取れるような仕組みや商品を利用するということが挙げられます。

具体的には、以下の通りです。

1.個人年金保険

生命保険会社、かんぽ生命、JAなどが取り扱う。

銀行や証券会社の窓口でも販売されている。

一時払いなどで保険料を支払い、年金を定期的に受け取っていくことができる。

低金利の影響で利回りは低め。運用成績によって年金額が変わる変額個人年金保険や、ドル建ての個人年金保険などもある。

2.毎月分配型ファンド

毎月決算を行い、毎月分配金を出している投資信託。

ただし、分配金の額や分配頻度の保証はない。

また、分配金が安定していても元本部分の価格変動によっては大きな損失が発生する可能性もある。

3.債券

国債などの債券は、半年ごとに利払いがあるので、満期の時期の異なる複数の銘柄を利用すれば、定期的に利払いや満期償還金を受け取れる。

国債や地方債であれば、銀行の預金よりも信用度が高く利回りも高い。

(続く)

定期的にお金を受け取れるような仕組みや商品を利用する

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前回のコラムでもご案内したように、大雑把でも家計が把握できると、年間いくらあれば最低限の生活はできるとか、公的年金だけだと年間いくら足りないかといったことが見えてきます。

簡易生命表による65歳の余命年数(男性約19年、女性約24年)などを考えると、いまや90歳までは多くの人が生きる時代になってきています。

90歳までと考えるなら、生活費としていくら必要かも大まかに見えてくるはずです。そうすれば、今ある全財産のうち、生活資金として取っておくべき金額と、もしもの場合に備えながらも安心して使っていい金額とが明らかになります。

医療保険などの加入状況にもよりますが、もしもの場合として夫婦それぞれ100万円ずつ取っておけるなら、何回かの入院は十分カバーできるはずなので、それ以外は余裕資金に位置づけてもよいでしょう。

では、使っていいお金を安心して使えるようにするためにはどうすればよいでしょうか。

1つの方法としては、定期的にお金を受け取れるような仕組みや商品を利用するということが挙げられます。

具体的には、退職金(企業年金)を一時金ではなく年金で受け取る、個人年金保険を利用する、毎月分配型ファンドや債券のように定期的に分配金や利息を受け取れる商品を利用するなどといった方法です。

漠然とした不安はそのままでは解決できません。家計のチェックや今後の支出計画を立てて、安心して使えるようにしましょう。

(続く)