まずやるべきことは、家計のチェック

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リタイア後の心構えとして、退職金や貯蓄をいかに活用していくかが重要です。

退職時点で3000万円ほどの資産があったとしても、「どのくらい使ってしまっていいのか」「もしものために取っておくべき金額はどの程度か」などといったことがわからず、漠然とした不安を抱えている人が多いようです。

そして、少しずつ資産を取り崩して使っていくと残高がジリジリと減っていき、結局、せっかくの退職金や貯蓄をうまく使えなくなってしまうのです。

老後のためのお金なのに、いざ老後を迎えると使えなくなってしまう。これはとても残念なことです。

では、どうすれば安心して使えるのでしょうか。

そのためにまずやるべきことは、家計のチェックです。

家計簿をつけている人は素晴らしいことですので、そのままつけ続けて毎年集計してください。

一方、家計簿をつけていない人は、つけなくてもいいですから、年1回、ざっくりとした家計のチェックを欠かさずやってみてください。

やり方は簡単です。まずは年間の手取り収入額を確認します。そして、1年間で貯蓄ができた人は、その年間貯蓄額を手取り収入額から差し引きます。

1年間でまったく貯蓄ができなかった人は、昨年の全財産から今年の全財産を差し引いて、減った金額を確認し、手取り収入と合計します。

こうすることで、年間総支出額が求められます。あとは、支出の内訳として、ある程度把握できている支出を書き出し、順番に引き算していき最後に残るのが、使途不明金が大部分を占める「その他の支出」です。

(続く)

一時金か年金。税金面で比較すると?

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次に、税金面で比較してみましょう。

通常は一時金で受け取ったほうがお得です。

一時金で受け取った場合は、すべて退職所得に該当し、勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引いた額の2分の1が、退職所得として他の所得とは合算せずに分離課税扱いで税額が計算され、税制面で非常に優遇されるからです。

たとえば、勤続38年で2500万円の退職金を受け取った場合の税額は、所得税と住民税を合わせても35万円程度です。

一方、年金で受け取った場合は雑所得扱いとなります。

厚生年金基金や確定給付企業年金などの企業年金なら、公的年金等控除額(65歳未満で最低70万円、65歳以上で最低120万円)を差し引いた額が雑所得となり、他の所得と合算して所得控除等を差し引き、税率をかけて税額を計算します。

公的年金等の受取り額によっては、毎年の税負担が重くなり、健康保険料の負担増につながる可能性もあります。

このように退職金は、受取方法によるメリット、デメリットがあるので、受取り額の水準を確認しながら比較検討することが重要です。

■年間の年金収入を合計し雑所得を求める

〈例〉65歳以上で公的年金200万円+企業年金100万円を受け取っていたとすると(他の所得はないものとする)

(年金額300万円)-(公的年金等控除額120万円)=180万円(雑所得)

(180万円)-(所得控除80万円(基礎控除、社会保険料控除などの概算))=100万円

課税所得100万円に対す心税額→約15万円(所得税・住民税の合計)

※企業年金の受取りがなければ、所得税・住民税はほとんどかからないはずなので、このケースの場合、一時金ではなく年金を選択することで年15万円程度の税負担が発生することになる。

(続く)

一時金か年金か、どっちがおトクか?

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退職金制度は大きく2つに分けられます。

「退職一時金」の制度のみの場合は、一時金として全額をまとめて受け取ります。

「企業年金」の制度として導入している場合は、勤続年数などの一定の要件を満たした人は、一時金として全額をまとめて受け取るか、年金として一定期間(一部、終身が可能な場合も)で分割して毎年受け取っていくかを選択できるようになっています。

では、一時金か年金かを選択できる場合は、どちらの受取方法がよりお得なのか、受取り額や税金面で比較してみましょう。

まず、受取り額で比較してみます。

税引前の受取金額の合計は、一時金よりも年金で受け取ったほうが、受取期間中の利息が上乗せされる分、多くなります。

たとえば、一時金での受取金額が2000万円だったとしても、それを10年間で分割して受け取る場合は「200万円+利息額」を毎年受け取ることになります。

したがって、トータルの受取り額で比較すると、年金で受け取ったほうがお得です。

ただし、一時金で受け取った退職金を運用しながら取り崩していき、年金で受け取る場合の利息額よりも高い収益が得られたら、年金よりも一時金で受け取ったほうがお得になります。

また、受け取った退職金で住宅ローンの残債などを一括返済する場合も、年金につく利息額の利回りより住宅ローン金利のほうが高いと、年金よりも一時金のほうがお得になります。

(続く)